第3章「ファービー①」

今年も思い出した。毎年そんなつもりじゃないけど、自然と思い出していることがある。「卒業」この二文字にはなんとも不思議な力が宿っているみたいで、それは少なからず私にとって、重要な意味を持っているようなのです。時を戻そう。(引用:松陰寺さんfromぺこぱ)

3月、当時15歳の私たちは、中学校を卒業した。卒業式が終わって、みんな教室に戻って、ほとんどの女子は泣いて、ほとんどの男子は相変わらずふざけ、じゃれ合っていた。そんな中、私たちは卒業アルバムを交換こして、一番最後の真っ白なページにメッセージを書き合うという中学生最後の儀式を行なっていた。別に強制でも、行事でもないけれど、いつからか、卒業生の暗黙の了解みたいなものになっていて、当日は誰が言わずとも自然とメッセージを残し合っていた。卒業アルバムは卒業式当日ではなく、その何週間か前に全員に配られたので、中には卒業式前日、前々日に友達にメッセージを求む卒業ガチ勢もいた。それはさておき、ここからが本題です。私はある男子に「ねえねえ私にもメッセージ書いて~!」とお願いしました。その男子が今回のDIARYの主人公なので、あだ名を決めましょう。もう既にみんなから呼ばれているかわいらしいあだ名はあるんだけど、彼のプライバシーを守りたいので、違う名前にするね。万が一ってことがあるからね。じゃあ、パッと思いついたから、「ファービー」ね。ここから、彼の名前は「ファービー」ね。おーけい?そんで、「ねえねえファービー私にもメッセージ書いて~!」って言ったわけさ。そしたら「おーいいよー、いいけどなに書きゃいいんだ」と言いながらも、サササササ~っと書いてくれた。「ファービーありがと!」私は、私のもとに帰ってきた卒業アルバムと彼からのメッセージを見て、胸がぐぅうううんとなった。紛れもなく、この言葉は私の人生の糧になるだろうと、あの一瞬で、中学生なりに、確信を得た。

「その強さがありゃ大丈夫」

やばくない?ファービー当時15歳よ?ファービー男子中学生よ?やばくない?ファービーとは幼稚園から中学校までずっと同じで、ファービーはずっと秀才だった。ずっと努力家の秀才っていう最高な人間だった。幼稚園の頃から「ファービーって頭いいなあ」という印象があったので、幼稚園児に伝わるほどの賢さを昔から有していたのだと思う。小学生、中学生と学年が上がっても、彼はずっと努力家の秀才のままで、なおかつファービーは常に柔らかく穏やかな雰囲気を身に纏い、さらに天性のユーモアがあって常に周りの人々を笑顔にしていた。また、ファービーはかなりの物知りで、勉強の頭の良さはもちろん、人間的な頭の良さも兼ね備え、さらになんと、いくつも賞をとるほど絵も字も上手いという、ファービーはみんなのムードメーカーであり、人生3回目なの?と思わせるほどの寛大で俯瞰的な仙人であった。でもファービーはいつもそれを否定した。「ファービーってさ、ほんとにすごいよね。なんでも知ってるし、なんでもできるよね。本当にすごいよファービー。」と、私は感動したり好きだと思うと、その場ですぐ言葉にして躊躇なくストレートに伝えてしまう人間なので、ファービーの凄さを感じるたび、よくそう伝えていた。しかし、ファービーはどこまでも謙虚であった。謙虚すぎるほどの謙虚であった。少しでも調子にのったところを見たことがない。「そんなことない、僕はなんでもないさ、君の方が、、、」なんてすぐ言った。(ファービーは本当にこんな喋り方をする。~さって本当に言う。)

そんな彼から、もらった言葉。一文字一文字、大きく、力強く、しなやかに書かれた言葉。私はその日からずっと大切にしている。私は、小学校の卒業式で呼名され壇上に上がって、六年生全クラスとそのご父兄の前で「私は将来世界中を幸せにするバンドを組んで、グラミー賞をとります!」と叫んだ女なので、私が音楽に生きることは、わりと知っていた人が多いかもしれない。ファービーがもしそのことを思って、この言葉をくれたならば、それは本当に素晴らしいことだし、なんだか私のことをよく知ってくれているみたいでとても嬉しい。まあ、本当のところはわからない。え、なんも考えず書いてた、ごめん。なんてことも全然ありえそうなのでこの辺にしておこっと。そんでもって、卒業した、一、二年後にまたふとこの言葉を思い出して、写真に収めて、ファービーからこんな素敵な言葉をもらったの、とSNSに投稿したことがあって、そしたらこの前何億年ぶりかに偶然再会した時に、「おい~小耳に挟んだのだけれど、あれ、SNSに載っけたんだろ~、別にいいけど、大したもんじゃないさ~」的なことを言われて、相変わらずファービーだなって思ったのと、あの言葉覚えてたんだと思ったのと、あ、バレてた、と思った。十分大したもんだよね。やっぱファービーは人生3回目なんだわ。こんな逸材が周りにいてすごく私は恵まれているよ。歩くパワースポットだよファービー。素敵な言葉をありがとう。救われてます。ファービー。

次の章は、そのついこの間ファービーと再会した時のお話をしようと思うよ。またファービーがファービー発揮しててさ…。尊敬と浄化が止まらなかったのでまたシェアします。あーー、また人伝にファービーに伝わって「おい~また僕のこと書いたんだって~?勘弁しておくれよ~、やれやれ~まあ、別にいいけど~」って言われるんだろうな。そんなこと言ってるファービーもかわいくて好きなんだけどね。今日は、私の大切な言葉と大切な友達、いや、人徳者のお話でした。次回、【ファービーと二億年越しの再会!~ファービーは決して座らない~】をお送りします。多分。うん。次回じゃないかも。いや次回かも。お楽しみに!