第2章「コーラ」

私は人生3回目の仙人でもなければ、憎しみを持たない聖人でもない。故になにかカッコいいことが言えるわけでもなければ、偉そうに助言なんかしてる場合じゃない。でも、今こうやって毎日をあーじゃないこーじゃない、あっちは危ない、こっちはつまらない、じゃあこうしてみたらどうだろうか、でも信じて良いのだろうか、いや自分はなにを信じてみたいのか、自分はそれでいいのだろうか、本当はどうしたいんだ、一番に望むものってなんなんだ、この選択にあの人はなにを思うだろうか、いやいや自分の気持ちはどうなんだ、なんて悩み苦しみもがきおおべそかいてるうちに、少しずつ柔らかくしなやかになって、あー、今思えばなんともなかったなー、でもあれはあれでよかったなー、なんて思える日が何度も訪れちゃったりして、軽々乗り越えられる壁も出てきたりして、はたまた、わざわざ乗り越えなくても事前に回避したり、違う道をゆく選択もできちゃったりして、しんどい日々はさらにしんどい日々で塗り替えられていき、頬筋が痛くなるほど笑った日々はいつの日も輝き、今度は全身筋肉痛になるほどの笑いで満ち溢れた日々を招いていく。そう思ったら全部これでいい。私はこれでいい。許せる日がちゃんとくるとなんとなく分かってる。上書きされてく日々を知っている。ビビる必要もないんだわ。私はちゃんと進めてるんだわ。気を抜くとビビってしまうから、当分の間はキャップをひねる前のコーラみたいにいようと思う。ここで読者の頭上にはてなマークが見えた。終盤だというのに。しかし一部優しい笑みも見えた。優しいよねほんと。そしていつか、そんな人々の言葉を代弁したり、誰かへなにか有意義な時間や言葉を贈れるようになりたい。それもぜんぶ、この日々を全力で駆けて呼吸をして見て聴いて感じた暁なのだろうけど、その日を信じてゆくよわたしゃ。

ところで、時間の経ったコーラはほんとうに甘い。博士は間違えて炭酸水入れてよかったね。間違いなく、運命だったね。